放電加工の原理、

ろ過フィルターの役割

 放電加工機は、放電によって金属を加工していく工作機械です。電極と加工材の間でアーク放電をすることで生じる熱によって金属を溶かし、加工材を切断したり、電極の形状に彫り込んだり、細穴加工が出来ます。
 放電加工機の原理、加工液の役割、ろ過フィルターの役割、フィルターの内圧式と外圧式等について説明いたします。

目  次

ワイヤー放電加工機用フィルター|東海工業

放電加工の原理

 この放電の原理は、日常的なもので見ると「雷」の現象です。これにより、導電性を持つ材料であれば、硬さによらず加工が可能です。よって、超硬、チタン、ステンレス等の難削材であっても複雑な形状や微細な形状の加工が可能となります。また、金属加工では難しかった薄物や長軸、異形状のものでも容易に加工ができます。
 放電加工機には、ワイヤー線を電極とする(ワイヤーカット放電加工機)、直方体や円柱状の電極で形彫り加工する形彫り放電加工機があります。加工精度も非常に高く、ワイヤー放電加工機も形彫り放電加工機も、±2~20μm程度で、仕上げ面の粗さはRz0.5μmの精度迄の加工が可能です。以上より、放電加工機は高精度な加工ができるので精密金型製作の分野で広く使われています。

ワイヤー放電加工機

ワイヤー放電加工機用のフィルター
ワイヤー放電加工機の原理
ワイヤー放電加工機(ワイヤーカット機)は、平面の二次元加工に適した放電加工機です。ワイヤー線を電極として、加工液中で放電加工させて加工していきます。電極線は真鍮が一般的ですが、タングステン製やモリブデン製の電極もあります。加工液は水です。

形彫り放電加工機

形彫り放電加工機用のフィルター
形彫り放電加工機の原理
形彫り放電加工機は、立体的な三次元加工に適した放電加工機です。直方体や円柱状の電極を、加工液の中で、放電させて加工していきます。電極は真鍮、銅製の他、銅タングステン、銀タングステンと言った合金も使用されます。加工液は油です。
ワイヤー放電加工機用フィルター|東海工業

加工液の役割

 空気中で、放電加工すると電極が数千度迄上がり破断したり変形したりするので、高温にならないように加工液中で加工します。ワイヤー放電加工機では、ワイヤー電極線の上にあるノズルからも加工液を吹きかけ冷却しながら加工しています。また、加工液で、発生した加工くずを除去します。つまり、加工液の役割は、電極の冷却と加工くずの除去です。
 また、ワイヤー放電加工機の加工液として水道水を使う場合、イオン交換樹脂システムを搭載し絶縁性を持つ純水にする必要があります。そうしないと断線したり、加工の不安定につながります。
ワイヤー放電加工機用フィルター|東海工業

ろ過フィルターの役割

 ワイヤー放電加工機も形彫り放電加工機も加工液の中で加工します。稼働中、加工くずが発生し、徐々に加工くずが溜まっていき、加工精度が不安定になっていきます。よって、加工液中の加工くずをフィルターで除去する必要があります。

フィルターの役割:

加工液中の加工くずの除去

ワイヤー放電加工機用フィルター|東海工業

内圧式と外圧式の違いについて

放電加工機のフィルターは内圧式と外圧式の2種類のタイプがあります。加工液をろ過するのにフィルターの圧力を内外のどちらからかけるかの違いです。

内圧式

放電加工機の内圧式の仕組み
ろ過ポンプで加工液を汲み上げ、フィルターの内側から外側へ圧力をかけてろ過させる方式です。フィルターの内側にスラッジ等の異物が溜まりますので、加工液槽内のスラッジの回収はし易くなります。

外圧式

放電加工機の外圧式の仕組み
ろ過ポンプで加工液をフィルターの内側から汲み上げ、外側から内側へろ過させる方式です。昔は外圧式が主流でしたが、現在は内圧式に切り替わっています。
(注意)メーカーの機種によっては、システムの構造や構成部品等が上記の概略図と異なることがあります。
ワイヤー放電加工機用フィルター|東海工業

放電加工機のろ過フィルター

ワイヤー放電加工機用フィルター

(水用)

ワイヤー放電加工機は、加工液は水となりますので、水用のフィルターを使います。メーカー毎、機種毎に取り付ける構造が異なるので、必ず適応機種の確認をしてから選んでください。
ワイヤー放電加工機用のフィルター
ワイヤー放電加工機用フィルター|東海工業フィルター株式会社

形彫り放電加工機用フィルター

(油用)

形彫り放電加工機は、加工液が油なので、油用のフィルターを使います。メーカー毎、機種毎に取り付ける構造が異なるので、必ず適応機種の確認をしてから選んでください。 
形彫り放電加工機用のフィルター
形彫放電加工機用フィルター|東海工業